2024/08/16 | Plantation, FEATURES

Plantation 自然が作り出す美しさを生地に託して「The story behind Mood Indigo」

Plantationのものづくりをめぐる旅。
旅で感じた、ものづくりへのこだわりと職人の技。
その一部をご紹介します。ぜひご覧ください。
Plantation

The beauty created by nature

岡山駅からJR赤穂線に乗って約40分。
目的地の伊部駅は「BIZEN SERIES」の名前の由来にもなった備前焼の街。
ローカル線らしい小さなオレンジの切符がなんだか懐かしく思える。


無人駅を抜けて歩き出すと、昔ながらの土塀の家並みが見えてきた。 
右を見ても左を見ても備前焼のお店。
今回は作陶体験もできるという窯元「一陽窯」へ。
出迎えてくれたのは室町時代から続く伝統と技を現代に引き継ぐ木村肇さん。
はじめて見る登り窯は迫力があって趣深い。
レンガでできた窯と粘土から作られる備前焼。どちらも原料は土だ。


備前焼と登り窯を前にして、自然から生み出されるものの力強さと美しさに圧倒されていると「ろくろやってみますか」と木村さん。
回転台の前に座り、手のひらで包むようにして親指に力を入れていくと粘土のかたまりがどんどん変化していく。
あっ!と声を上げた時には円は歪んでいて、木村さんに手伝ってもらってできたのは茶碗のような何か。
それでも焼き上がりが楽しみだ。
木村さんに別れを告げ、瀬戸内海を一望できる牛窓オリーブ園へと足を伸ばす。
散策道が頂上が近づくにつれ、一歩ごとに視界が海へと開かれていく。
目の前には瀬戸内海の多島美。
この日は薄霞で、ぼんやりと霞がかかった島々がブルーの階調を作っている。
やがて陽が落ち、西日が空をオレンジに染めていく。
海と光による神秘的な芸術は、胸がつぶれるくらいに美しい光景だった。

The story behind Mood Indigo

駅のホームに降り立つと立派なお城が出迎えてくれた。
福山市は日本有数のデニム産地。
紡績、縫製、加工といった産に関わる工程が分業制になっているのもこの地域ならでは。
それぞれが専門化されていて、技術力の高さは世界的に認知されている。

プランテーションでは、テキスタイルの多くにおいて糸の撚りからこだわってオリジナルで作っている。
もちろん染めも然り。
高屋川沿いの土手を歩いて向かったのは「坂本デニム」さん。
ここは糸染め専門の工場。
染料が入った甕で行う伝統的なかせ染めからはじまり、今ではその手法を自動化し生産を行っている。
と、口でいうのは簡単だがその工程の多さには驚かされた。
まずは整型と呼ばれる作業。数百本の原糸が一本の金属の筒に巻き取られていく。
染めムラがないよう、またスムーズに染めができるようにと、言わば染めの下準備である。
勢いよく白い糸が流れていき整然と束になっていく。
自動化のためのひと手間。そして染色。


ロープ染色はデニムのタテ糸を染める方法。
藍染め特有の発酵の匂いが立ち込める中、ロープ状にまとめられた糸を
特殊な染色機を使って高い位置からインディゴの液層に漬けて上げてを繰り返す。
はじめは白かった糸が、液層を経ていくごとに徐々に青みを帯びて濃くなっていく。
藍色のグラデーション、徐々に深まるインディゴ。
手染めの時代から地続きであるということを再認識させられる瞬間。
美しい色が生まれるまでに、いくつもの工程があった。
その裏には黙々と作業に勤しむ職人たちの姿があった。
その動作の一つひとつもまた、美しいと思った。

The art of weaving gives strength

福山で訪れたかったもう一つの場所が「山足織物」。
工場内には、がしゃん、がしゃんとシャトル機が奏でるリズミカルな音が響く。
壁にはデニムの落ち綿が吹き付けられ、青と白の独特な模様を生み出している。
「山足織物」とは二人三脚で生地作りをはじめて、これまでにたくさんの生地を作ってきた。
今年で12年の付き合いになる。
今日の装いも「山足織物」で仕立てられた生地が使われている。
プランテーションを代表するテキスタイルのひとつ「BIZEN WAVE」は
プリーツ加工とは違い、織りの組織によって自然なウェーブが出るようにデザインされている。
今季のそれは緯糸にキュプラを使うことで、自然な光沢と落ち感のある表情に仕上がった。
デニム工場が多い広島県福山市・岡山県井原市でも生産量は随一。
その上、小ロットでの生産にも相談に乗ってくれる。
融通というか、色々なわがままに付き合ってくれるのが山足さんのいいところ。
「小回りが効くのがうちの強み。膨大なサンプルを元に、
インスピレーションを膨らませながらブランドと足並みを揃えてもの造りができる。
プランテーションとの取り組みはいつもチャレンジング。作っていて楽しいですね」
と社長の山足さん。
サンプル生地が上がる前の段階で試織を送ってくださるなど、技のみならず丁寧で細やかな対応がうれしい。
岡山の職人は皆、慎ましくてどこか品がある。
そして、工場を一歩出ると雄大な自然と優しく降り注ぐ陽光に包まれる。
穏やかな人と気候に触れて、デニムという手間が掛かる厚地の織布が
この地で発展した理由がわかるような気がした。


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