2025/07/18 | Plantation, Plantation - Textile Story, FEATURES

Plantation Textile Story vol.6「BLACK Series:ARIMATSU SHIBORI」

Textile Story vol.6
「BLACK Series:ARIMATSU SHIBORI」
From Aichi, JAPAN 2025 AUTUMN/WINTER
Plantation
<産地との協創>
プランテーションのものづくりの根幹にある「心地よい質感と肌触りのテキスタイル」。軽くて、丈夫、そして着るほどに身体にしっくりと馴染むその上質なテキスタイルは、さまざまな分野のプロや産地の職人が携わり、丁寧につくり上げることで生み出されます。

2024年より展開している「BLACK」シリーズは、こうしてつくられてきたプランテーションの定番素材に、日本の伝統的なテキスタイル技術を組み合わせ、その新しい魅力や可能性を提案するプロジェクト。

この7月には、「YOORYUU」「BIZEN WAVE」に愛知県名古屋市の有松地域に根付く絞り染めの伝統技法「有松絞り」を施した新作が登場します。




<有松絞りについて>
有松絞りは、江戸時代から続く日本の手絞りのひとつ。京都と江戸を結ぶ東海道沿いに位置するこの地域で、絞り染めの浴衣や手拭いが往来する旅人たちの間で人気を博したことで、一大産地へと発展を遂げました。

おもな工程は、布を寄せ、防染糸で固定する「絞り」と、染料に浸す「染め」。シンプルなプロセスである一方で、そこに職人たちが創造力を注ぎ込めるのも、こうした絞りの魅力で、実際に「有松絞り」では、職人が時代にフィットするように技やパターンを改良、開発し、派生形も含めると全部で1000種類を超えるバリエーションがあるとも言われています。

今回、コラボレーションした「絞染色 久野染工場」は、その中でも100年以上の歴史を持つ有松絞りの老舗。伝統工芸士の久野剛資さん(四代目)、久野浩彬さん(五代目)を中心に職人たちの手仕事を継承しながらも、和服用のテキスタイルだけでない現代のスタイルに合う有松絞りの可能性を開拓してきました。

<手仕事からうまれる世界にひとつだけの価値>
– ARIMATSU SHIBORI WAVE –



今回、そのコラボレーションの形で展開される「BIZEN WAVE」のワンピースとパンツは、有松絞りの代表的な技法「鎧段絞り」で染色したもの。
「鎧段絞り」では、まずひだを作るように折り込みながら、一定の間隔ごとに紐で括り上げ、生地を筒状に。その後、紐と紐の間隔をギュッと押し縮めることでできた生地の膨らみが染色部分となり、ボーダー状の段模様が現れます。


この独特の名称は、現れる柄が甲冑の大袖や草摺(くさづり)の段模様に似ていることに由来したもの。そうした連続した線とその間に現れる滲み。そのナチュラルでリズミカルな段模様がソフトなウェーブ感のある「BIZEN WAVE」の風合いを引き立てるようにマッチします。
– ARIMATSU SHIBORI YOORYUU
/ YOORYUU T –






「YOORYUU T」には、「ラハリア(波)」と呼ばれる巻き絞りで柄を載せました。これは、生地を何重にも巻き込み、染料の浸食具合で色の濃淡を表現するシンプルな技法で、今回表現したのは、服の袖からネックまで自然に流れるようなグラデーション。伝統技法ながらも、和服っぽすぎないこの色柄を用いることで、横地にシボを配置しバネのように張りのある「YOORYUU T」に新鮮な表情を与えました。






「YOORYUU」のプルオーバーブラウスとワンピースには、同じく有松絞りを代表する絞りのひとつである「板締め絞り」を施しました。「板締め絞り」は、何重にも折りたたんだ生地を型板で挟んできつく固定し、その部分を防染することで連続的な紋様を生み出す技法。それぞれブルーとチャコールグレーに製品染めを施した「YOORYUU」に「板締め絞り」を施し、ブルーは板締め以外の箇所を抜染(脱色)し、チャコールグレーは板締めしたものの上から更に染色を施すオーバーダイ加工を行っています。ブラッシュペイントにも似た大胆な色面の連続性が、生地の分量の多いワンピースやカットソーに美しく映えます。
<伝統の継承と続けていく挑戦>

今回は、すべて縫製され服になった状態のものを染めていく「製品染め」。五代目の久野浩彬さん曰く、加工を施した際の生地の伸縮、また着用時に柄がどのように現れ出るかを想定し、職人がひとつひとつ衣服を絞り、最適な濃度と時間、またその配合を計算しながら染め上げていったと言います。

そうやって職人たちの手の経験や感性に基づきながらも、自然の摂理によって偶然に現れる濃淡の美しさもその魅力だとも。


一点一点、異なる柄の表情がまた味わいとなってワードローブを彩ってくれます。

「日本の伝統的な手仕事で絞り染めを継承している土地はあまり多くない中で、久野染工場はその伝統を大切にしながらも、素材的にも技法的にも革新的なことに挑んでこられた作り手。テキスタイルを学びにここにやってくる若い作家も多いと聞きます。一緒に取り組むことで、絞り染めという手仕事の魅力を未来に繋げられたらと考えたことが今回のコラボレーションのきっかけのひとつです」とデザイナーのサトウは話します。

また、今回ベースになった「BIZEN WAVE」と「YOORYUU」は、それぞれ立体感のある織り組織やシボに特徴のあるテキスタイル。こうした表面の凹凸により、素肌と生地の間に空間が生まれることで、着用感も軽く、さらりとコンフォートな肌触りになっているのも魅力です。

「それぞれ高温多湿な夏の季節にも最適なテキスタイル。今回のコラボレーションでは、そこに浴衣や手拭いとして親しまれてきた有松絞りの表情が加わり、目にも体感的にも涼しげな商品に仕上がっています」とサトウ。

手仕事の伝統、一点ものの価値を備えながらも、現代生活に快適さと豊かな彩りを与えてくれる美しく機能的な新作コレクション。ぜひ店頭でお手にとってご覧ください。









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