2022/04/13 | tac:tac, FEATURES

tac:tac【Patterner’s Eye / 003】

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Patterner’s Eye / 003

デザイナーが作成したデザイン画をもとに、その意図やニュアンスを汲み取り、実際に服の造形を作る役割を担う、「パタンナー」という職種があります。
Patterner’s Eyeではそのパタンナーの視点で tac:tac のものづくりを紐解いていこうと思います。

tac:tac の服はもちろんのこと、みなさんが日常の中で様々な服を見るときの “新たな視点のきっかけ” に、少しでも繋がれば幸いです。

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島村

 
 

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22SS COLLECTION “DIVERS(C)ITY”
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— 2022S/SのCOLLECTIONがスタートしました。今シーズンもパイピングのテクニックが多く見受けられました。特に2.1TWILLの商品はパイピングの使い方がより進化したように思います。
島村:シーズンのスタート時、デザイナー島瀬から受け取ったキーワードの中に、「PIPING」「PATCHWORK」「PUNCHING」という、「P」を頭文字に持つ三つの言葉がありました。
このうち「PIPING」と「PATCHWORK」の考え方が色濃く反映されたシリーズです。
特にパーカーとジャケットの肘のエルボーパッチ、パンツの膝のニーパッチに関しては、本来独立した別のパーツを叩くことが多いのですがその手法は取らずに、袖のパーツと繋がった 一体型 にすることで、パイピングのルートを確保し、視覚的な要素、補強布としての強度を両立することができています。
 
 
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島村:参考までにパーカーの袖のパターンの線を載せてみました。
“服” と “線” を、見比べてみてください。
なんとなーくどこがどこに繋がっているか見えてこないですか?
 
 
 

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— (2.1TWILLの)パンツに関してはパターンがとても面白く、且つ着用した際のシルエットも太すぎずおさまりの良いバランス感でした。
島村:実際はかなり大きく太いパンツで、大きなウエストをベルトで絞って履く構造になっているんです。
ベルトで絞って履いてもウエスト周りがもたつかないように、ウエスト周りの生地の重なりを極限まで排除できているのは、パイピングを活用したデザインから得れる大きなポイントの一つです。

“ワイドパンツが履きたいけど、ウエストが余り過ぎる。”
“無理にベルトで絞めて履いても、重なった生地の角が体に刺さって痛い”
“ウエストのサイズに合わせて選ぶと、全体のワイドな印象が薄らいでしまう”
結果的には、そういった「身体」と「服」の「追いかけっこ」に悩みを抱える人へも、パンツの選び方の一つのアンサーにもなっていると思っています。(かく言う僕自身も身体が華奢で、その類の人間です。)

 
 
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— COTTON TAPE PARKA JACKET は素材感も面白く、テープ使いが印象的でした。
島村:このシリーズでも “PIPING” を活用しているのですが、生地ではなく綿テープで挟むことで形作られています。
ラグラン袖や後ろ中心、袖の切り替えはテープを叩いてるように見えて、実はパイピングしていて、そのテープ同士を縫い合わせることでパーツを接続しているので、表から裏までそのテープが顔を表します。
加えてポケットの縁取りでは、太いテープに「額縁始末」という手法で角を作ったものを叩きつけていたり、フードも叩きつけられていたり、“PATCHWORK”の要素も含まれます。
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島村:あまり対外的に見せるものでもないのですが、皆さんは “トワール” (試作の試作のようなもの)と製品を比較して見れる機会もなかなか無いのでは?と思い立ち、今回はその辺りも解放してみようと思います。

因みに “トワール” とは何かと少し説明すると、実際の生地でサンプルを作成する前に、シーチングと呼ばれる安価な生成りの生地を使って形作りを行ったテストピースのようなもので、僕がデザイン画を受け取り、最初に “形” として作るものです。
先ずここに辿り着く為に、試行錯誤を重ねます。
このトワールを元に、デザイナー島瀬と共に “仮縫い” を行い、ボリュームからシルエット、デザインのバランスなどをチェックして、更に精度を詰めていきます。
その内容によっては一からやり直しになることも勿論あります。
今回公開しているトワールは工場さんへの縫製見本としても使用したので、写真のように色々と指示が書き込まれたものになります。

 
 
 
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— 22ssでは帽子にもパイピングのデザインを取りこんでいましたね?
島村:制作当時にデザイナー島瀬から、「パイピングの考えをベースに帽子を作りたい、何か考えてみてほしい」とイメージとキーワードを言葉で受け、僕自身、帽子の形を作るのは初めての体験だったので、少し戸惑いながらのスタートでした。一番初めはパネル同士を重ねてミシンで叩きつけることで、段々と連結させていくイメージを2人の間で共有していました。

最初はその方向で模索していたのですが、手を動かしているうちに、帽子の構造では “天辺” と ”ツバ側” の2箇所を固定してしまえば形になるんじゃないか、ということに気づいてしまいました。
少し興奮気味に何パターンか縫ってみて、島瀬にその内容を再提案したというやり取りがありました。

そういった経緯を経て、パネル同士を直接縫わずに “スリット” のある基礎構造に辿り着き、結果的には “通気性” も確保できてしまいました。
これは見たことのない帽子、かつ人々の快適性に対しても提案ができるぞと。

その後島瀬が、ベルトやツバ、ステッチなど、全体のデザインの構成を再構築することで完成した帽子になります。

形としてパネル同士はくっついておらず、その為スリットがあるので、帽子単体ではクタッとなるのですが、そのなんだか頼りない様も気に入っています。
そのスリットのおかげで通気性は抜群です。

人に被ってもらうことで、本来の “形” と “機能” が全力で発揮されるこの帽子をお供に、
夏の日差しを遮りながら、夏の風を感じて下さい。

 
 
 
— SPLENDER JERSEYは切りっぱなし(カットオフ)のデザインですが、ストライプにも見える独特な生地使いでしたね?
島村:このシリーズはジャージ素材の端がカールしてくる特性を全面に活用したシリーズになり、21AWから更に発展させたシリーズです。
これらも基本的に “PATCH WORK” で形作られています。
当初島瀬からは、「例えば街のビル群のイメージとか、重ね方やパネルのバランスは色々考えてみて」と、デザイン画を受け取ったところからスタートしました。

“DIVERS(C)ITY” のキーワードのもと、「街のビル群」に加えて「飛び込む」「潜りこむ」「前進する」、そういったニュアンスを考えながら、生地の重ね方や順序にどういった意味や思いを込めるか、そんなことを想像しながら形を作っていきました。

 

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島村:一つその例を挙げるとすると、パンツの形作りの時には 「前進する」 感じを想像しながら形を作ってみました。
人は歩く時、まず足から踏み出し、進行方向の前から後ろに 空気 の流れを感じることを思い浮かべました。
なので一番前面のパーツ(膝頭)を一番上に重ね、そこから背面(膝裏)にかけて生地を下側に重ねることで、筒の構造において前進する思いを込めることができるのではないかと思いました。
歩みは止めても確実に前進していく姿勢がそこにはある。
そのような心持ちでした。
 
 
 

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さいごに。

今回は制作の情景を少しでも想像してもらえるといいなという思いで、このような内容をお届けしてみました。
読みながら、少しでもその情景を想像してみてください。

いつの日か、その答え合わせをしましょう。

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島村 幸大太

 
 



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